コードレビューにおけるフィードバックの分類と心理的安全性の強化

新井公貴

2023.06.27

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この記事では、コードレビューの過程で使用されるコメントタグの役割と、それがチーム内の心理的安全性にどう影響を与えるかについて解説しています。


コメントタグの活用による効果的なコミュニケーションとチームの健全性

コードレビューでは、まず最初にコードが要求を満たす動作をすることが重要視されます。その上で、外部サービスの特異な動作やセキュリティ機構の考慮、不具合発生時の検知可能性、将来的な修正の困難さ、パフォーマンス問題などについても指摘が行われます。


指摘を行う際には、以下のようなタグを用いてコメントをカテゴライズします。

  • must: 修正が絶対に必要な場合
  • imo: 自身の意見や思考を伝える場合
  • nits: 細部の指摘や軽微な修正を提案する場合
  • q: 質問をする、または不明な点を問い合わせる場合


これらのタグは、レビューのプロセスで「心理的安全性」を保証するために重要な役割を果たします。


心理的安全性とは、ハーバード大学のエイミー・エドモンソン氏が提唱した概念で、チームメンバーが自身のミスを認め、改善のために積極的に発言する環境を指します。


コメントタグは、心理的安全性を保証するための3つの要素、すなわち「発言できる環境を作る」「自分がミスをしている可能性を認める」「好奇心を持つ」に対して以下のように貢献します。

  • 発言できる環境を作る: コメントタグを使用することで、自分の意見や感情を明確に表現できます。これにより、意見交換のハードルが下がります。
  • 自分がミスをしている可能性を認める: 強い意志を示すタグ(例えば「must」)を使用することで、自分の認識のズレに気づく機会を得ることができます。
  • 好奇心を持つ: 「imo」や「q」のようなタグを使用することで、他人のコーディングスタイルやコードの背景について理解を深めることができます。これは新たな視点を提供し、自身のスキルや知識を拡張する機会を提供します。


まとめ

コードレビューにおけるコメントタグの使用は、チーム内の心理的安全性を強化する重要な手段です。

これらのタグは、レビュアーが自分の意見を明確に表現し、レビュイーがフィードバックを適切に理解しやすくする役割を果たします。


また、タグの使用は、チームメンバーが自分のミスを認め、新たな視点を探求する環境を作り出します。これらの要素はすべて、心理的安全性の確保とチームの健全性に寄与します。

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